空き巣に入られた話

2018年の2月、空き巣に入られました。

財布の金を抜かれただけだったんだけど。

空き巣の犯人を自分で現行犯逮捕する快挙。

 

そして、捕まえた犯人はなんとフランス人の女でした。

 

 

 

という個人的な事件、自分的には凄まじく印象的で今は笑い話なんだけど、結構困ったこととか色々思ったことがあったので、もし今後長い人生の中で、突然刑事事件に巻き込まれてしまったら参考になればいいかなと思う。

いや、本当苦労した。

 

背景は被害に気づく前日の夜から。

 

 

 

 

 

ー事件前日

 

金曜日の夜だったと思う。

その日家に帰宅したのは22時頃。

日頃から家に鍵を閉める習慣が実家にいた時からなくて、不用心にも玄関の鍵を閉めなかった。

異変に気づいたのは次の日の2時頃だった。

玄関からすぐ入ったところにガラスのドアがあるんだけど、それがほんの少し揺れた音がした。

「ん?」と思って見に行こうかと思ったんだけど、ちょうどその時隣で工事をやっていたので、物音はそのモノかと思いそのまままた寝た。

 

 

 

 

ー事件当日

 

次の日に起きたのは8時、家の近くの歯医者を予約していたので行くことに。

クリーニングを終えて、会計しようと思ったら

「あれ?諭吉どこいった...?」

 

財布から諭吉が複数人、いなくなっていた。

 

会計を済ませ、家に帰る途中でずっと考えてた。

「ん?あれ?どう考えてもおかしいよな。」

人の財布を断りなく触る人なんて周りにいないし、使った記憶もない。

そこで、昨日の夜の物音が繋がった。

 

「これ、誰か入ったんじゃね?誰だ?」

「誰が入るにも、俺に知らせないで入るのは身内でもアウトだ!」

 

そんな感じでとりあえず警察に電話

 

「あの、すいません。空き巣に入られたみたいなんですけど。」

家の住所を伝えたら、担当が行きますのでとのことで電話を切った。

インターホンが鳴り、出たら刑事さんが3人も...

私服の人や制服来た人。

家の玄関が一気に物々しい雰囲気になった。

 

詳しい状況説明を求められ、覚えている範囲で答える。

すると、ドアノブや財布の指紋を取ることになった。

 

尊敬する先輩から譲ってもらったカルティエの財布が白い粉でまみれ、

・小麦粉?違うか

・なんかこれコナンで見たな

・粉つくのいやだなぁ、でもツルツルだし大丈夫か

とか、半分面白半分で作業を見ていた。

 

見てて思ったのが、結構作業が荒いと思った笑

まぁ、都内だと犯罪も多いし、本当に空き巣が入ったか確証もないし、何より鍵閉めてなかった俺がバカだよなーとか思ってた。

 

指紋は案の定、出なかった。

 

刑事さん達からも「鍵の戸締りはちゃんとした方がいいですねー」とか

「ちょっとこれは犯人見つかるのはかなり難しいですねー」とか

まぁ、そりゃそうですよねーなんて話をしながらお礼を言って刑事さん達は帰って行った。

帰っていった後即、鍵を閉めた。

 

 

 

 

ー犯人逮捕

 

昼過ぎ頃。刑事さん達が帰った後、どこにもぶつけようのない怒りが込み上げてきた。

「ったく、しょうがないよな...」

そんな事を思いつつ、リビングでため息を付いてPCを開いたままぼーっとしていた。

 

 

 

...

 

 

...カチャ...

 

 

 

 

!?

玄関から物音がした!

「え?刑事さん達忘れ物したの?」

「...いや、鍵閉めたし!!!!」

そう思って玄関を見た瞬間、走って逃げる長い金髪の姿が!

 

金髪のロン毛に、勝手に若いオタクだと思いこみ

「ふざけんなこのチャランポラン野郎」

と心の中では爆発してたけど、無言で咄嗟に追いかけた。

 

 

休日の日中に、閑静な住宅街で階段の追いかけっこがスタート。

 

 

階段を急いでダダダダっと降りていく犯人、結構すばしっこい。

ただ俺はムササビの如く、裸足で階段を飛び降りて追いかけていた。

 

足の速さに負ける気はしなかった笑

 

階段の踊り場に出たとき、犯人が足をつまづいた!

すかさず、相手の服を後ろからわし掴みし手繰り寄せ、手を掴んだ!

 

 

「お前だろこの野郎ぉぉぉぉ!!!!!!」

 

 

親父のくしゃみってすごいでかい。

親父譲りで、俺のくしゃみもすごいでかい。

関係あるか知らないけど、切れたときの声は大きい方。

 

 

「HIROSHI!!!HIROSHI!¢ £ % # & * @ § ☆ ★ ○ ● ◎ ◇」

 

 

ん!?何語!?

顔を見た瞬間、驚いた。

 

まさかの外人の女だった。

 

それに気づいた時に、確かに腕が細く

火事場の馬鹿力で掴んでいたせいか、犯人の腕がぐにぐにしてて

そこでほんの少し正気に戻った。

 

 

「ヒロシって誰だよ!!俺◯◯だぞ!!!」

「HIROSHI!!I want to go to the bathroom!% # & * @ §

 

「誰だよお前!ヒロシって誰だよ!!」

 

 

とか、変な会話をしていた。

 

 

すると、怒鳴り声のせいか近隣の人がわらわら出てきた。

近くにいた工事のおっちゃんが、話に入ってきた。

おっちゃんにこいつが空き巣の犯人なんだ!と説明をすると

俺の知らないアメリカ語で犯人に話しかけ、何か犯人と会話が出来ているようだった。

 

すると、工事のおっちゃんが

「この人、ヒロシに会いに来たって言ってるよ。トイレを借りに来たんだって。」

 

 

???

 

気が動転していたので、少し「まさか関係ない人!?」とか思った。

同じマンションにヒロシなんていないんだけどね笑

 

 

マンションの管理会社の人がたまたまその時1Fにいて、騒ぎを聞きつけて出てきた。

怒鳴り声で「警察呼べ!!」とお願いをした。

気が動転しているせい言葉使いが汚い笑

 

 

おじいちゃんなので、わなわなとどうしたらいいのかわからない様子で驚いていた。

「警察呼べよ!!早くしろよ!!」

更に追い打ち...

 

 

間も無く、パトカーが3台もやってきた。

あぁ、痴話喧嘩と思われたら説明すんの面倒だなぁとか思ってたけど

案外すんなり女を悪者だと思ってくれた。

 

事の事情を警官に説明。

すると、警官が犯人の財布を取り上げ、「開けなさい!」と半強制的に開かせた。

すると、みすぼらしい財布の中にそぐわない、諭吉が複数人。

俺が刑事に伝えていた額と一緒だった。

 

 

そのまま、犯人は警察署へ。俺も行くことになった。

パトカーに乗る時、警官から「足大丈夫ですか!?」と心配された。

足を見ると、裸足で階段を飛び降りてたせいか、親指の皮がずりむけて辺りに血痕が、、

頭に血が上っていたので、全く気がつかなかった。

 

 

 

 

 

ー警察署へ

 

署について、とある一室に通された。

そこで、昼に家にきた刑事さんと再会。

まさか昨日の今日で、という感じだった。

「多分、黒だな...」とか刑事さん話していた。

犯人は未だに、ヒロシに会いにきていただけと否認しているとのことだった。

 

家の鍵の写真やら、何故か怪我した足の写真やら撮った。

また、被害前日から当日まで、状況について詳しく説明をした。

その日何も予定がなくてよかった...

 

この被害届、かなり時間がかかる。

時間はとっくの夜になっていた。

 

拉致された諭吉は諦めていたけど、捕まえたからには返して欲しい。

ここで少し驚いたのが、現行犯逮捕なのに

犯人が否定しているとお金は帰ってこないということ。

 

証拠固めで犯人が家に入ってきていないか調べる為、急遽また家に行くことに。

 

住居侵入だと、足跡をまず取るそうで

家の電気を消し、床をライトで照らし始めた。

またコナンで見たような光景だった。

 

すると、靴跡らしきものが浮かび上がってきた...(家の台所付近まで。怖かった笑)

 

これで、証拠が取れた!万々歳だ!と思いまた警察署へ行きまた調書の続き。。

本当に長かった。

 

 

 

 

 

ー事件後

 

事件後、3回ほど警察署に行ったと思う。

調書の修正だったりで。

本当に面倒だし、休日が潰れてしまうのが嫌だった。

未だ犯人は否定しているとのことで、刑事事件として起訴する形になった。

勉強になったのが、ここで不起訴になる可能性もあるということ。

不起訴だと、ほぼほぼ被害金は帰って来ない。

ただ、証拠があるのに犯人が否定しているからか、悪質と判断されたのか無事起訴になった。

起訴になってからもまだ後工程はある。

 

裁判に向けて、今度は検事さんと打ち合わせのため

検事さんに会いに行った。

また休日が潰れる...

 

 

調書の読み合わせをした。(これも長い!)

すごいいい人で、時間を合わせてくれて夜遅い時間に対応してくれた。

検事さんも大変だよね。

 

 

そこで、犯人の言い分を聞いたんだけど

犯人曰く、「出会い系サイトでヒロシと出会った。ヒロシに会いにいっただけ。家を間違えて入ってしまった。」

検事さんも苦笑いしていた。

まだ、この段階では被害金の返還は難しいかもしれないということと、裁判になっても結果はどうなるかはまだ明言出来ないと言われた。

 

裁判は、また後日日程を決めて連絡しますとのことでその日は帰宅。

 

 

後日、郵送で封書が届き、裁判の日程が決まった。

事件後、確か二ヶ月後とかだったと思う。

 

裁判に同席出来るとのことで、是非行きたかったけど予定が合わなかった為断念。

上手く有罪判決になるよう祈って、判決を待った。

 

 

 

 

 

 

ー事件後(解決)

 

またそれから数ヶ月経ったある日、今度は警察署から電話が来た。

「裁判で認めたみたいです!お金も帰ってきたので、受け取りに来てください。」

えっ、もう帰ってこないんじゃなかったの?と驚きつつ警察署へ。

刑事さんから、犯人逮捕の協力をいただき〜とかで感謝をされたけど、逆に感謝でした。被害金がやっと手元に帰ってきた。事件から4ヶ月後ほどだったと思う。

 

刑事さんから「犯人から伝えたいという話がありまして、気を悪くしないでいただきたいんですが...」

「私は悪いことをしてしまったけど、日本にいる外人をみんな悪い人だとは思わないで欲しい」だそうです、と。

 

 

 

 

知らんがな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ小さい事件ではあったけど

貴重な経験で勉強出来た。代償は本当に時間を取られた。

そして、小さい出来事だったけど想像以上に多くの人が動いたことに驚いた。

なんで犯人はまた戻って来たんだろうね。

 ちなみに、犯人は初犯だったけど初犯にしてはかなり重い方で懲役刑、そして母国に強制帰国された。

 

今ではいい話のタネです。

それからは、ちゃんと家の戸締りをしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜余談

この事件のあった日の次の日、家のポストが荒らされていました。

犯人以外の人に...

それは解決していません。事件と関係しているのかは不明。

東京、治安悪いね!